手足などに木の皮のような巨大なイボが生じる、「ツリーマン(樹木男)症候群」と呼ばれる稀な遺伝性の皮膚病を、バングラデシュの少女が、女性として世界で初めて発症しました。
— ねたろう (@cQxPGoKcnpEOn4Y) February 13, 2020
サハナ・カトゥン(Sahana Khatun)さん
その少女とはサハナ・カトゥン(Sahana Khatun)さん(10)で、顎、耳、鼻には、節くれ立ったイボができており、ダッカ医科大学病院(Dhaka Medical College Hospital)の医師らがツリーマン症候群(樹木男症候群)と診断。
2月7日に第1回目のイボの除去手術を行い、その時は無事に手術は成功していました。
しかし現在では、以前にも増して太く固いイボが生えてきているとの事で、サハナさんの父親であるムハンマド・シャージャハン(Mohammad Shahjahan)さんは、「もう治らないのではないか」と娘さんの症状を危惧しているそうです。
そんな世界でも数例しか診断例がないと言われる奇病のツリーマン症候群ですが、その症状や発病の理由、治療法などについて見ていきたいと思います。
*2017年4月4日追記・・・イボの除去手術に成功されたバングラディシュのツリーマン病の男性、アブル・バジャンダルさんの術後の姿や様子などについて、まとめた記事をUP致しました。
宜しければ是非、↓のリンクよりお読みください。
アブルバジャンダルの現在や家族[ツリーマン] 術後の画像や妻と子は?
ツリーマン(樹木男)病の症状、発症の原因は?
では初めにツリーマン症候群の、概要やその症状について、見ていきたいと思います。
この病気の正式名称は疣贅状表皮発育異常症(ゆうぜいじょうひょうひはついくいじょうしょう)という病名ですが、ツリーマン症候群、樹木男症候群、ツリーマン病などとも呼ばれています。
ツリーマン病は、ヒトパピローマウイルス(HPV5型・8型)の感染によって、小児期から顔面や体幹に*癜風(でんぷう)や、*扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)様の皮疹が多発し、徐々に全身に拡大する疾患とされています。
*癜風(でんぷう)…癜風菌(マラセチア・ファーファー)による皮膚の真菌症
*扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)…平べったい形をしたイボ
通常の人間ならば疣(イボ)は出来ても治るものですが、ツリーマン病を発症する患者の場合は遺伝子異常があり、それが自己免疫システムを狂わせる結果、ヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚細胞に侵入し、この症状を発症すると考えられているようです。
”樹木男症候群”の治療法は?
またこの病気の恐ろしい点のひとつに、イボが太陽光によって活性化されると、 露光部(ろこうぶ)にガンを発症する事が多いという特徴があります。
根治方法が無い事と、太陽光によってイボがガン化する危険性から、基本的には紫外線防御に努め、悪性腫瘍は外科的に切除する必要があると言われています。
しかしこの病気の難点として、イボを切除したとしても年月の経過とともに、再びイボが成長してしまう事が多く、場合によってはより悪化する事もあるようです。
過去の発症者のケース
この症状が確認されている患者数は、世界でも現在までに3名ほどしかいない珍しい症例のようですが、これまでのケースでは全て男性が発症していて、今回4人目の患者となるサハナさんが発症するまでは、男性特有の疾患であると考えられてきたようです。
一見すると本当に樹木の皮のような、多数の大きなイボが印象的ですね。
— ねたろう (@cQxPGoKcnpEOn4Y) February 13, 2020
バングラディシュのアブル・バジャンダルさん
ツリーマン病患者の一人である、バングラディシュのアブル・バジャンダルさんは、16回にも及ぶ手術の末、2017年の1月に、ようやく手足にできた5キロものイボを除去する事に成功し、退院の見込みと報道されていました。
*イボの除去手術に成功されたアブル・バジャンダルさんの術後の姿や様子などについては、↓のリンクよりお読みください。
アブルバジャンダルの現在や家族[ツリーマン] 術後の画像や妻と子は?
— ねたろう (@cQxPGoKcnpEOn4Y) February 13, 2020
インドネシアの故・デデ・コサワさん
しかし日本のテレビ番組でも特集放送されてきた、インドネシアのデデ・コサワさんは、合併症のため残念ながら2016年1月に、45歳の若さで亡くなられたようです。
コサワさんの場合も何度も手術をされ、一時期は全身の95%にものぼるイボの除去にも成功していましたが、年月とともにイボは再び成長し、コサワさんの腕は再び木の皮ように覆われてしまったようです。
またこのイボは自分で切除しようとすると、激しい痛みを伴うようで、邪魔だからといって日常的に取り除く事も容易ではないようですし、この病気の患者さん達は、鉛筆や箸も持てないので、仕事や日常生活にも支障がきたします。
現時点では根治が不可能という事で、発症したら生涯付き合っていかなければならない可能性も高く、患者さんは勿論、その周囲の方々にとっても大変な病気と思われます。
ツリーマン病の日本人の症例はある?
またこの恐ろしい奇病であるツリーマン症候群ですが、これまでに日本人で発症された方は確認されていないようです。
前述した通り、この病気は世界でもほんの数例しか発症が確認されておらず、現在までの患者の国籍は、インドネシア、バングラディシュ、中国などとなっているようです。
遺伝子異常が原因とされてるツリーマン病ですが、その遺伝子異常が何故引き起こされるのかについては詳しく分かっていないようですので、現時点では日本人が発症する可能性もゼロとは言い切れないと思います。
サハナ・カトゥンさんの今後は?
という事で、ツリーマン症候群について、その具体的な症状や発症のメカニズムなどを、ご紹介させて頂きました。
— ねたろう (@cQxPGoKcnpEOn4Y) February 13, 2020
この病気は生活面の問題もさる事ながら、外面上の疾患でもあるので、他人の視線など、精神的にも苦痛を伴う病気で、周囲の人達の理解やサポートが必要だと言われています。
そして今回症状が見られた、バングラデシュのサハナ・カトゥンさんの場合は、初期の症状は軽度だったため、これまでのケースよりも回復が早いのではないかと見られていましたが、やはり切除しても新たなイボが出てきており、最初の手術を受ける前よりもそのイボは大きくなっているようです。
サハナさんの父親のムハンマドさんは、「さらに8~10回の手術が必要だと言われたが、それで治るという保証はない」と話しており、また父の手ひとつでサハナさんを育てている事から、治療期間中、生計を立てるのにも苦心していると言います。
そういった事情から今後の再手術には消極的だとの事ですが、放っておくと日増しにイボが拡大していく可能性も考えられますし、何とも辛いお話ですね。
初めの治療は無料で行われたようですが(コチラの記事を参照)、やはり娘さんの看病や今後の手術費用などは掛かるのか、詳しくは分かりませんでしたがサハナさん一家には厳しい事情があるようです。
しかしおそらくこのニュースは、全世界で報道されている事と思いますので、今回の報道を受けて世界中の有志達が、サハナさん達に救いの手を差し伸べてくれる事を祈りたいと思います。