今からおよそ25年前の1992年、メキシコ第2の都市であるグアダラハラで起きた爆発事故をご存知でしょうか?
2月9日放送のフジテレビ系「奇跡体験!アンビリバボー
」でも扱われますが、この事故は下水道に流入したガソリンが引火爆発し、206人の死者を出した非常に重大な爆発事故でした。
今回はそんな大事故であった、グアダラハラ爆発事故の詳細や、事故の要因となった杜撰な対応などを調べてみたいと思います。
グアダラハラ爆発事故とは? 事故の概要や発生日など
グアダラハラ爆発事故は、1992年4月22日に発生しました。
その爆発の被害は甚大で、4時間以上に渡って爆発は続き、道路が数kmに渡り陥没します。
公式の発表では206人の死者と500人近くの負傷者をだし、15,000人が家を失い、被害額は3億ドルから10億ドルと推定されているといいます。
その被害が深刻なのは言うまでもありませんが、この事件の特徴はそれだけではなく、爆発の引き金になった原因と、事前の対応の杜撰さでした。
グアダラハラ爆発事故の発生原因や経緯
4時間以上に渡って燃え続け、道路まで大陥没するほどの爆発を起こしたこの事故は、実は発生の2日ほど前からその兆候が現れていました。
その詳細を時系列順に、以下に記していきたいと思います。
事故2日前 4月20日
グアダラハラの街の周囲ではガスの臭いが漂い、異臭騒ぎが起きていた。
近隣住民たちはガス会社を呼んで点検をしてもらったが、なんと、そこでは異常は見つからなかった。
事故前日 4月21日
さらに数キロ離れた場所からさえも、マンホールから煙が吹き、水道からはガソリンのような異臭の被害が出ていた。
しかしグアダラハラでは経済発展のために、環境や住民の安全よりも産業や経済を優先することはよくあった。
それでも事故前日の正午あたりには、あまりにもひどい水道の異臭によって、住民の苦情は殺到し、すぐに水道局職員による調査が行われた。
そしてそこで判明した事実とは、
下水道に可燃性のガスが今にも爆発しそうなほどに充満していた事だった。
水道局職員はすぐに市長に報告したが、なんと市長はその報告には真剣に対応しなかった。
市長が市民に行った説明は「原因は不明だが命に危険はない」というものだった。
事故当日 4月22日午前10時6分頃
地下より大爆発が発生。
瞬く間に、近隣の家や道路は、炎に包まれた。
最初の爆発より1時間以上にも渡って爆発は続き、最終的に火災が鎮火されたのは事故発生より4時間以上経過しての事だった。
上述のような流れで事故は起こったのでした。
グアダラハラ爆発事故の真相や背景
では、この巨大爆発事故を引き起こした根本的な原因や背景を見ていきたいと思います。
事故が起こった、グアダラハラのこの地域は工業地帯であり、40以上の工場や化学プラントなどが建設されていました。
メキシコ大統領の命令で投入された調査団の調査・報告によると、グアダラハラ爆発事故の原因はメキシコ最大の国営石油会社ペメックス製油所がパイプライン(鋼鉄製のガソリンの送油管)に流していたガソリンが原因だったといいます。
事故発生当初は食用油の製造工場が可燃性の液体を下水道に流したためと思われていましたが、真相は違いました。
ペメックス工場付近の地下で、パイプラインと、亜鉛メッキ銅製の配水管が接触。
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温度による局地電池腐食という現象が起こって、パイプラインに破損が発生。
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破損によって出来た穴から、揮発性の高いガソリンが漏れます。
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そして数m先にあった下水管にガソリンが入って混ざり、異臭などが巻き起こりました。
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漏れたガソリンの量は何と60万リットルともいわれ、暑さによってガソリンは気化し、ガスとして充満、放電によって引火し大爆発を起こしました。
地下でこのような化学反応が起こる事は建設時の段階では想定外だったのかもしれません。
しかし、事故発生の前日には水道局職員は、下水管にガスが充満していることを断定出来ていたのです。
グアダラハラ爆発事故のその後
そして事故発生前の対応を非難され、市長をはじめ水道局、ペメックスなどの責任者が逮捕される事態になりました。
しかし、この事故は市長やペメックスの対応次第では、住民を避難させるなど、被害を縮小することは出来たと言われています。
そして現在でも福島原発の問題や、世界には沢山の環境問題が山積しています。
私達が快適に過ごすための工業や産業は大切ですが、決してそれだけでは代えることの出来ないものもある事に気付かされますし、環境や安全について考えていかなければならないのかなと感じました。