JAグループ京都の米卸「京山(きょうざん)」が販売する複数のコメに産地偽装の疑いがあることが、「週刊ダイヤモンド」の調査で判明したようです。
同誌が専門の検査機関に産地判別を依頼したところ、「滋賀産」や「魚沼産」として売られていたコメに、中国産が混入しているという結果が出たのだといいます。
もし本当にこれが事実だとしたら、とても大規模な偽装になりますし、深刻な社会問題に発展する可能性もありますよね。
今回は京山のコメの産地偽装疑惑について、その詳細や、京山という米卸会社についてなど、調べてみたいと思います。
京山の産地偽装疑惑の概要 中国産混入という検査結果はなぜ出た?
それではまず、今回報道された京山のコメの産地偽装疑惑の概要や経緯について、説明したいと思います。
週刊ダイヤモンド誌によれば、京山が精米・販売したコシヒカリ4袋(各5kg)を「京都ひがしやまいちば楽天市場店」で購入し、産地判別において実績がある同位体研究所に検査を依頼。
以下がその4つの商品になります。
引用:http://diamond.jp/articles/-/117642?page=2
2週間後に出た結果によると、「滋賀こしひかり」の10粒中6粒が中国産と判別されたのだそうです。
そして同位体研究所は問題のコメについて、「外国産米と判別される」と検査報告書に明記しています。
引用:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170213-00117642-diamond-soci
この同位体研究所は、2009年以降、行政検査や司法鑑定などで1000件以上の精米の産地判別を行ってきているそうです。
行政から検査を受託するには産地判別で9割以上の検査精度がなければいけない中、同研究所のコメの産地判別の精度は92.8%だと言われています。
さらに産地偽装の疑いはこのコメのみにとどまらず、日本一のブランド米「魚沼産こしひかり」では10粒中4粒、「京都丹後こしひかり」では10粒中3粒が中国産と判別されたとの事です。
さらに疑惑は、中国産米のブレンドだけにとどまらず、「魚沼産こしひかり」のうち国産と判別されたコメも、「他府県産である可能性が高い」との検査結果も出たといいます。
この研究所の検査・報告が確かならば、今回の4種類のコメは意図しない混入はおろか、そのほとんどが表示された産地のコメでなかった可能性が高いといえるのではないでしょうか?
米卸、京山(きょうざん)とは? 株式の8割はJAグループ京都
そしてこの疑惑の米を流通・販売していたのが、京山という米卸会社ですが、京山は、JA全農京都が集めたコメの大部分を精米、販売しています。
京山の法人登記によれば、株式の55%をJA京都中央会が、23%をJA全農京都が保有。
つまり、京山株式の約8割はJAグループ京都が保有しているということになるようです。
今回の産地偽装について、JA京都中央会は「京山が、中国産米をブレンドしたコメを国産のコシヒカリとして販売した事実はありません」と回答し、偽装の疑いを否定。
さらに、京山関係者は「国家貿易の枠組み(SBS)でコメを輸入したが他社に転売した。精米工場には入れていない」と回答しているとの事です。
また疑惑のコメの仕入れ先については、「滋賀こしひかり」は滋賀県愛荘町産でJA東びわこから、「魚沼産こしひかり」は新潟県南魚沼市産でJA魚沼みなみから、仕入れたということです。
日本の米卸の実態や疑われる理由 業績が逼迫?
ちなみに現在の日本の米卸は中小零細が多く、上位263社の14年度営業利益率は0.8%。
最大3社でも同1.1?2.7%と青息吐息の状態なのだそうです。
コメの偽装は米卸にとって手っ取り早く利益を上げられる手段だそうで、スーパーからの価格下げ圧力や過当競争によって業績が悪化している昨今、「産地偽装に手を染めている米卸が他にもいることは十分に考えられる」とも言われているようです。
それだけ農家の方や、流通・販売に関わる方々には厳しい現実があるのでしょうが、コメは私達が口にする事が最も多い食べ物といっても過言ではありません。
そういった意味でも、ブランドや価格などよりも、やはり安全や安心を優先して頂きたいと感じました。
今回の疑惑の真相の解明と、今後の米卸業界の実態の調査を待ちたいと思います。