2012年にカナダで失踪していた同国人の男性であるアントン・ピリパさん(39)が、南米ブラジル・アマゾンの森林地帯で同国の警察により保護されたというニュースが入ってきました。
失踪からおよそ5年が経過している事や、アントンさんが失踪前、精神疾患を抱えていた事などから、生存は絶望視されていましたが、今回の生存や、大陸を越えた遠い場所での発見が話題となっているようです。
今回はアントンさんの経歴や失踪の理由、そして今回発見・保護に至った経緯について調べてみたいと思います。
アントンピリパのプロフィールや失踪の理由・経緯
アントンさんの詳しい経歴については不明な点も多いですが、ご家族の話ではアントンさんは失踪する前は「貧困の撲滅」などを掲げた、人道支援を行う活動家だったそうです。
しかしやがて統合失調症と思われる症状に苦しまれ、暴行罪の疑いで起訴され、2011年、裁判を受ける事になります。
そしてアントンさんはこの裁判が始まる少し前、2012年にカナダ西部バンクーバーにある十字路で目撃されたのを最後に、消息を絶たれてしまいました。
兄弟のステファンさんら家族は、その症状などからも生存を半ば諦めていたようです。
アントン・ピリパの5年間の旅路・生活と保護の詳細
失踪から発見までのおよそ5年間、アントンさんが旅したのはカナダからブラジルまでの10カ国。
米国を横断した後、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、パナマ、コロンビアなどの国々で約10の国境を越えて旅をしたと考えられています。
時にはヒッチハイクをしたり、餌を食べたりしながらも、カナダからアマゾンまで総距離1万マイル(約1万6千km)も素足で歩き続けたといいます。
— ねたろう (@cQxPGoKcnpEOn4Y) February 13, 2020
失踪から発見までのアントンさんの道程
今回のアントンさん発見のきっかけになったのは、昨年11月28日になって、ブラジル北西部ロンドニア州ジパラナで、身元不詳の外国人として警察に発見された事でした。
アントンさんは悪態をつきながら混雑した道路を裸足で歩いており、高速道路で乗用車やトラックの間を歩く危険な行動をとっていたといいます。
— ねたろう (@cQxPGoKcnpEOn4Y) February 13, 2020
保護されたアントンさん
英語が話せる事から、身元調査を任された警察官のエレニセ・ビジガウさん曰く、「彼はポルトガル語を話せず、滞在許可の書類もなく、明らかに精神疾患がある様子だった」そうです。
警察に対しアントンさんは、自分の家族について話すことを拒んだ一方、カナダ連邦警察に会いたいと語ったため、ビジガウさんはカナダ当局に連絡を取り始めます。
しかし昨年12月中旬、アントンさんは治療を受けていた病院から脱走してしまいました。
再び行方不明となったアントンさんが発見されたのは12月25日の事で、なんとアマゾンのジャングルで発見され、無事に保護されました。
この場所は「ヒョウやワニ、ヘビなどの危険な大型捕食動物が多く生息する」という事で、地元の警察官すら恐れる所でしたので、発見が遅れると生命の危険も考えられました。
アントンピリパのコメントや現在など
そして再び無事に保護され、ようやく身元も判明したアントンさんは、再会した兄弟のステファンさんに連れられてカナダに帰国しました。
— ねたろう (@cQxPGoKcnpEOn4Y) February 13, 2020
アントンさんと兄・ステファンさん
ステファンさんはカナダの放送協会に対して、
「彼が生きていて、しかもあんな遠い所まで行っていた事に本当に驚いている」
とコメントされているようです。
アントンさんの方も、
「生きていることがとても幸運であり、しかも家族の元に帰ることが出来て本当に嬉しい」
と話しているようです。
またこのニュースを受けて、世界中でも驚きと生還を歓迎する声が上がっているようです。
何はともあれ生きていた事は、ご家族にとっては嬉しいでしょうし、今後は再び失踪される事がないよう願っています。