目まぐるしいスピードで進化を続ける科学やテクノロジーですが、それに伴って私達の人体のメカニズムなども、解き明かされつつあります。
そしてクローン技術も発展する中で、1990年代、ついには人間のクローンを作ると提案する人まで現れました。
2月15日放送の日本テレビ「ザ!世界仰天ニュース」でも取り上げられるようですが、その方とはリチャード・シードというアメリカの物理学者であり科学者でした。
今回はそんなリチャードさんの経歴や、世界でも物議を醸す事になった、クローン人間作成計画について見ていきたいと思います。
リチャード・シードの経歴
それではまずは、クローン人間作成を提案したリチャード・シードさんとはどんな方なのか、リチャードさんのプロフィールをご紹介したいと思います。
— ねたろう (@cQxPGoKcnpEOn4Y) February 12, 2020
リチャード・シード(Richard Griffith Seed)
生誕 1928年生まれ
出身地 アメリカ・シカゴ
経歴 物理学者、起業家
リチャードさんは1928年に、アメリカのシカゴで生まれました。
死去されたという情報はありませんでしたので、ご存命なら現在89歳前後だと思われます。
リチャードさんはリバーフォレスト高校を卒業され、1949年にハーバード大学に入学、その後学士号、修士号、博士号を取得されました。
とても頭脳明晰な方で、リチャードさんはその後、生物医学の分野に興味を持ち始めます。
そして1970年代、リチャードさんは牛の胚を移植する技術を商業化した会社を共同設立しました。
さらにリチャードさんはお兄さんと共に、同様の技術を使って不妊女性が子どもを妊娠させるのを助けるために、別の会社を立ち上げますが、この起業は失敗します。
しかし1995年12月には、リチャードさんは今度は、人間をクローンする計画を発表されるのでした。
そしてこの計画の発表が、世間でクローン人間の倫理的な議論を醸す事になりました。
リチャード・シードのクローン人間計画
リチャードさんはクローン人間作成計画は、子宝に恵まれない夫婦が子孫を残せるようにという目的だと発表されました。
その驚愕の内容とは、まずはリチャードさん自身のクローンを作り出すというものでした。
具体的には、自分の細胞の核とドナーの卵を結合させて胚を作り、その胚はシード氏の妻のグローリアが受胎するというものでした。
またこの計画は、「子供を欲しがる夫婦を食い物にしているという自分への批判をやわらげようというねらいも込められている」とリチャードさんは語りました。
しかし、資金や技術の不足や、世界的なクローン人間の作成を禁止する動きにより、最終的にはこの計画は未達成に終わったと言われています。
リチャード シードの計画に対する世間の反応
当然このような計画に対する賛否両論は大きかったようで、科学者や宗教指導者、議員たちを中心に、議論を醸しました。
倫理的な問題点をはじめ、リチャードさんの提案する方法での妊娠は、死産や奇形の危険が高いと指摘する声があがる一方、病気や死に瀕している子供のクローンを作って欲しいと、何百件もの依頼もあったと言います。
現在のクローン人間作成の実情 世界的に禁止!
結局現在においても、クローン人間はいまだ世界では誕生していない事になっています。
それは技術的な問題ではなく、主に宗教性・利権性・倫理性などの問題点から、世界的にその作成が禁止されているためです。
日本でも、2001年6月より、クローン技術規制法が施行されています。
不老不死の願いや、死別した愛する家族を取り戻したいなどの、人間の本能的欲求はあるでしょうが、ひとたびこれを認めると、その悪用やクローンの人権問題、またはクローンは寿命が短いなどといった生物的問題もあると言われています。
クローン人間を生み出すだけならば、現代のテクノロジーを駆使すれば可能と思われますが、そこには「神ならぬヒトがクローン人間を作り出すことは倫理的に問題がある」という超えられない壁があるように思われます。