何故、罠に嵌まってしまったのか 被害者たちの抱えていた境遇や白石容疑者の手口
また今回の事件の被害者の方々が、なぜ白石容疑者の毒牙にかかってしまったのか、その理由についても週刊文春では記載されていました。
週刊文春では、まず9名の被害者には「自らの人生を終わらせたい」という共通の願望があったと説明しています。
そして被害者の1人と見られる神奈川県横浜市のA子さん(25歳)については、高校卒業後から引きこもりの生活を送られていたとの事。
しかし今年の4月からは、コンビニのアルバイトを始めるなど、一歩前進していたようです。
A子さんのお母さん曰く、A子さんは友達付き合いが得意ではないためバイトでも接客で悩んでいたようで、自分の部屋でSNSをやるようになったのは知っていたと言います。
そして10月18日の夕方、A子さんはアルバイト先から突如失踪。
初めは年頃だから、彼氏でも出来たのかと思ったというお母さんですが、無断外泊など一度もなかったというA子さんの身が心配になり、帰宅しなかった翌日には捜索願を出したものの、連絡はないそうです。
福島県福島市在住の高校3年生のB子さん(17歳)は、9月末に行方が分からなくなったと言います。
携帯電話のGPSは座間市付近で途切れていたそうです。
B子さんのお父さん曰く、B子さんさんは高校に入ると「東京に行きたい」「ネットで知り合った女子大生の所に泊まる」と言っていたそうで、反対すると2016年末から2017年明けにかけて家出をしていたそうです。
お父さんは2017年4月に離婚し、B子さんはお母さんと暮らしていたようです。
そんなお父さんの元を、11月初旬、警視庁の捜査員が訪ねてきて、DNA鑑定の試料提供を依頼されたそうです。
娘が事件に巻き込まれたことは認めたくない。
もしそうだと判明したら、僕は犯人を生かしておかない。
(B子さんのお父さん)
群馬県邑楽郡の高校1年生・C子さん(15歳)は、最年少の被害者と見られています。
C子さんは、白石容疑者がその沿線に住む小田急線上の片瀬江ノ島駅の改札を出たところで足取りが途絶えたそうで、8月28日の事だったと言います。
同級生曰く、「穏やかで可愛らしい子」だったそうですが、夏休み中にLINEしたときには返事がなかったそうです。
他の友人に聞いた話では、両親と仲が悪くよく家出をしていたのだそうです。
またC子さんは、中学時代は演劇部、高校時代は美術部に所属し、ホラーゲームやホラー小説を好んでいたそうです。
埼玉県のさいたま市に住む高校2年生のD子さん(17歳)は、9月3日午前に「お昼を買いに行って来る」と言って自宅を出たきり、帰ってこなかったそうです。
小中学校時代の同級生の話では、小さい頃からネットに強くよく「ニコ生」を見ていて、3次元の俳優より深夜アニメのキャラが好きなタイプだったと言います。
また中学時代には合唱部に所属していたそうで、後輩は「頑張ってね」と声をかけられるなど、優しい先輩だったと話しているようです。
一方で別の同級生曰く、理由は分からないものの、D子さんは腕に複数のアザを作って登校した事もあったそうです。
親族は10月初めに警察に届け、行方を捜していたと言います。
さらに都内の私立大学文学部に通う2年生のE子さん(19歳)は、実家は埼玉県所沢市だそうです。
姿を消したのは9月15日だったと言います。
小中学時代の同級生の話によれば、E子さんは休み時間に一人で活字の本を読んでいる物静かな方だったそうです。
小学校時代は学者を夢見ていて、「リケジョ」タイプだったそうです。
そして本事件が発覚するきっかけとなった、9人目の被害者の女性(23歳)は「決心がついた」などと白石容疑者に連絡を入れ、消息を絶ちました。
この女性は幼少期、父親の家庭内暴力から逃れるように、お母さんとお兄さんと3人で横浜市から山梨県の甲府市へ転居。
新たな地で元気に成長していったようですが、中学1年生のときに、今度は東京都の八王子市へ転居。
この頃に学校でトラブルが起こったそうで、これをきっかけに女性は引きこもるように。
そして今年の6月にはお母さんが亡くなり、この女性は八王子市のグループホームに入居していました。
また最初の被害者と考えられている会社員のF子さん(21歳)は、神奈川県の厚木市でお母さんとお兄さんの3人で暮らしていたそうです。
そして8月21日、「やり直したい」「失踪します」という書置きを残して、姿を消します。
F子さんの携帯電話は江ノ島の片瀬海岸の女子トイレで見つかったそうです。
さらに白石容疑者の供述によると、F子さんを捜していた唯一の男性被害者・Gさん(20歳)も犠牲となりました。
Gさんの最後の姿が確認されているのは8月29日との事ですが、知人曰く退院したばかりで女性にフラレれて落ち込んでいたようです。
Gさんの元交際相手はF子さんとは別人だそうですが、Gさんにもジ○ツ願望があり、SNSで知り合った同様の仲間とやり取りしていた事が分かっているそうです。
Gさんの携帯電話のGPSは、座間市に隣接する海老名市で途絶えているとの事です。
埼玉県春日部市のH子さん(26歳)は、心に病を抱えていたと言われているようですが、今年の夏に離婚したばかりで同年8月末から2週間ほど風俗店に勤務していたそうです。
同地域に引っ越して来た時は、まだ旦那さんと小さなお子さんがいたようですが、H子さんは地味な印象だったと近隣住民が話していたようです。
また前述の風俗店の関係者曰く、笑顔に乏しく、それこそジ○ツしそうなほど暗かったとの事ですが、最後の出勤は9月の中旬だったとの事です。
「迎えが来ます。」と言っていたそうで、彼氏でも出来たのかと冗談を言うと、「うん」「まあ」と曖昧な返答をしていたそうで、その後、間もなくして連絡が取れなくなったと言います。
といったところが、今回の事件の被害者とみられている方々の素性となっています。
また、なぜ被害者の方達が白石容疑者に引き寄せられていったのかについては、週刊文春の記事の中でフリーライターの渋井哲也さんは、
現実の人間関係が苦手な人にとって、家族や友人に言えない本音や願望を聞いてくれるネットの相手は貴重。
SNSのやりとりは、会って話すのと同じくらい内面の交渉が成立する。
短期間で何人もの被害者が会いに行っているため、犯人がそれだけ信頼関係をみせかけるスキルに長けていたといえる。
などと分析していました。
また白石容疑者は、少なくとも4つのアカウントを持っていたそうで、上手く使い分けたり、ハッシュタグなどを利用していたようです。
そして上手く志願者を引き付けると、その後はツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)に誘い、さらには会う約束を取り付けていたようです。
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(本段落の情報参照元:「週刊文春」2017.11.9発売号)
終わりに
という事で、白石隆浩容疑者のこれまでの半生や人物像、また被害者の方々の境遇などについてお伝えさせて頂きました。
あまりにも大それた事件で、その犯行動機は理解に苦しむところですが、こうした報道を見ていると、白石容疑者はただ身勝手に、心の弱っている人たちに付け込んでいただけなのかも知れません。
そうだとすれば動機は単純ですが、どこで善悪のたがが外れたのか、やはりその心の闇は深いように感じました。